ワシントン州のボセルというところに、凄いゲームを作るからオイラに$200,000投資してよと声を上げたタフガイがいました。少人数のスタッフでスタジオを立ち上げ、2012の4月にKickstarterを成立させ、翌2013年9月20日、R6原理主義者の記憶に深く刻み込まれる一本のゲームを放ちます。その名は ―― Takedown: Red Sabre ―― おお、なんとワイルド。
Takedown はいろいろな意味で興味深い存在です。
例えば「あれで$15もらえるのか、だったら$5ぐらいで俺もなにか!」と調子に乗ってUnityをインストールしてみちゃったりしたお茶目さんが当サイト管理人も含め結構な数いるのではないかと思いますが、そう、一つはゲームの価格や品質・責任といった物へのバランス感覚を見事に覆したこと。よく言えばゲーム製作の精神的ハードルを下げたと、悪くいえばタクティカルシューターにアタリショックを起こそうとしているわけです。
もう一つはゲームの完成予想図とKickstarterの調達金額とを見比べてニヤニヤする楽しみを原理主義者に教えてしまったこと。今思えばKickstarterのあの$200,000はどこから出てきた数字なのか。これまでは天敵Ubiとの宗教戦争で考えたこともなかった「R6/GRを作るのに必要な時間とお金」という要素をTakedownは秋風に乗せて原理主義者に届けてくれたのであります。
ところでご存知でしょうか、なんでもアメリカのゲーム開発者の平均年俸は$84,000前後ということらしいです。私もはじめて知りました。
SerellanがKickstarterで調達したのがだいたい$221,000ですから、平均年俸から逆算すると専門・技術職を年契約で雇うとしてもまぁ3人、凄いブラック企業と揶揄されるのを覚悟で5人ぐらいでしょうか。それだけの人数を一年間投入できる程度の額ということになります。Serellanのサイトによりますと現在スタッフは12人ということですから、$200,000という額が割と中途半端な数字に感じられるのは私だけでしょうか。まぁ、たしかにタクティカルシューターというニッチなジャンルでどれだけのお金を集められるか判らない部分もあって金額も低くなったのかもしれません。
ちなみに一部のスタッフはその経歴をネットで見ることが出来るわけですが、それによりますとKickstarter成立から半年後の2012年の10-11月あたりにSerellanに移籍したようでありまして、年間契約だったらそろそろ更新をどうするか悩む時期だなぁとかついニヤニヤ想像してしまいそうになります。果たしてSerellanに彼らを繋ぎ止めておくだけのおぜぜがあるのかどうかがこの妄想の一番の勘所な訳ですが、どうなんでしょう。妄想をもう一歩イタい方へ進めてみますと、このスタッフを囲い続けるためには何がしかの金策が必要となる訳ですが「もしかしてクリス某、資金切れを回避するためにTakedownが未完成なのを重々承知で更新前の9月末に売りに出しちゃった?出しちゃった?」とかついつい下衆な想像をしてしまうわけです。「うむぅ、秋には金がなくなる」「え!?でもまだFPSの基礎の基礎な部分しか出来てませんよ!」「仕方ない、これより粉飾モードへと突入する。インタビュー形式で動画攻勢をかけつつ、コミュニティは完成度を一切明かさない統制モードに!」……とかなんとか、ああ俺はなんて下衆いのだろう。
12名のスタッフ、平均年俸で3人程度の専門職を1年拘束できる程度の資金調達、この二つだけでも妄想を膨らませるには十分に面白い組み合わせですがここにSerellanが予想していたTakedownの完成像を加えるとさらに面白いことになります。
SerellanのFAQに掲載されるTakedownの完成予想像。完成すれば大概のR6原理主義者が狂喜乱舞するパーフェクトTakedownな内容になっているのですが、これだけのボリュームを12人(というかエンジニアは2人)で、そしてKickstarterのなんとも微妙な金額から予測するに「もしかすると1年程度で完成できそう!」なんて最初に考えた人間は今、FAQに載せたパーフェクトTakedownと実際にリリースされた未完成なTakedownを、そして荒れ狂うforumとをどのように見ているのでしょう。素人目に見ても、原理主義者的視点から見ても「少々見積もりが甘かったのではないか」と小躍りしそうになります。
さらにさらに妄想を進めてみますと、一番の問題はパーフェクトTakedownになるためにあと何年かかるのか?ということと、その期間中スタッフを維持する体力が果たしてSerellanにあるのかという辺りが焦点になるかもしれません。これが天敵Ubiなら他の無数のプロジェクトが補ってくれるのでたいした問題にはならないかもしれませんが、なんといっても今のSerellanにはTakedown以外の進行中のプロジェクトがないわけですから、自力で調達する術はありません。当然、Kickstarterももう無理でしょう。
妄想的起死回生のシナリオとしてはマップとキャンペーンを収めたDLCを販売する方法があります。ただし、これには基となるTakedown本体の出荷本数が十分にあることが重要となります。Takedown本体が何本売れたのか判りませんが、一本$15ですから仮に10,000本売れても$150,000ですからそこからあれやこれやさっぴくとSerellanに入るのはわりと微妙な額になりそうな気もします。Steamのチャートを見るに発売直後のピークでプレイヤー数1,000人程度で、その後のお祭りを考慮に入れるとさすがに20,000本はちょっと厳しい数字かなとか想像してみたりするんですが、どうなんでしょう。こう考えると、Serellanがまだ逃げずにパッチを出し続けていること自体が意外と凄いことなんじゃないかと思えてくる不思議であります。
そういえば今週、Takedown購入者にさらにもう一本Takedownが配られるという*素敵*な出来事があったそうです。当然のことながらSteamのforumは「どうしてこんな酷い仕打ちを受けなきゃいけないんだ」系のわりとほのぼのとしたハロウィンな祭りが起きているんですが、もしかするとこの配布はDLC販売のための布石??とかなんとか妄想しながら各forumを巡るのも、R6原理主義者の週末の過ごし方としては有りなんじゃないかと思います。ちなみに私がSerellanの中の人だったらDLCの効果を上げるためにもう2本ぐらい購入者にTakedownを配ると思います。配布されてしまった人はSteamアカウントを持ちながらTakedownを持っていない不届き者を探し出してしっかりなすり付けて畑を耕し種をまいて欲しいと思います(鬼畜
今後のTakedownの見所としましては、有料の追加データをどのタイミングで、どのぐらいのクオリティで出してくるかをワクワクしながら眺めることでしょうか。どこかで有料コンテンツを出さないとほんとにSerellanは飢え死にしそうな気もするので、しっかり本体を配ってこのぐらいなら買ってみようかという価格設定で有料コンテンツを出しつつ、本体をパーフェクトな状態にまで持っていって欲しいと思います。というか、もうここまできたからにはSerellanはもっと火に油を注ぐべきといいましょうか、もっと盛大に燃料投下して欲しいなとか思ってしまいます。リリース前は用もないのにあれだけ頻繁に動画に出てきたクリス某がリリース後はさっぱり出てこなくなって少し寂しい夜を過ごしている諸兄も少なくないはず。今こそ、クリス某が動画で「Patriotsの腰抜けめ!」とか口から泡を吹きながら斜め上の大演説をするときではないかと思うのですが如何か。