ゴミ捨て場に突如現れるソファ、現代アート風投棄の季節
さぁ、新学期や新会計年度に備えて大移動の季節になりました。近所のマンション/アパートからは大量の粗大ごみがルール無視で投げ捨てられ一帯の自治会がブチ切れるシーズンの開幕であります。それはさておき、歴史的な引っ越しとなるであろう F-16 の方もそろそろ仕上がりのいいパイロットから順に隣国に集まって具体的な編成をしてる頃合いなんじゃないかなとか思う 3月ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
Yahoo! などの書き込みを読んでおりますと F-16 に過大な期待をしている層もちらほらいるようですが、ほとんどは先の西側戦車が期待していたほどではなかった例をひいてやや控えめな予想に落ち着いているようで。
いやぁ、個人的には西側車両はかなり頑張ったんじゃないかなと思うんです。「奪還」こそ芳しくはなかったですが、塹壕での防衛戦で一番苦しくて怖くて怖くて身動きとれないときに後ろから友軍 BMP がやってくるのと友軍 M2 がやってくるのとでは安心感が違うと思うんですよね。戦車の使い方も初めは真昼間にレオパルトが相手の得意な近距離に突っ込んでいってる映像を観て頭を抱えましたが、その後はきちんと有利な距離で戦っているようですのでしっかり自爆ドローン等のヘイトを稼いで味方APC/ IFV の進入と抽出後退を支えて欲しいなと。それで壊れるのは仕方ない、今はそういう役回りでありそういう局面ですし。
西側で戦車教育を受けたということで私はてっきり敵正面で複数戦車グループが交互に適正戦闘距離に出入りしながら圧を加えるダンスステージを形成し砲爆撃戦の頃合いをみて両脇から IFV 群がスルリと進入していく運用を「ぎこちない動きで新米が真似ようとする版」を想像していたんですが、まさか戦車が先頭で近距離設定のキルゾーンに突っ込んでいく運用するとは思ってなかったのでちょっと衝撃的でした。
で、F-16 はどうなるんでしょうか。ネット上では「敵空軍の圧力を相当減じるのでは」という雰囲気になっていますが個人的にはいくつか気になる点も。
ここ数十年、西側の航空戦力は「外から内へ」進入していく運用が中心で、「外からくる圧力を内側から押し返す」運用をほとんどしていないのでどうなんだろうなという。しかも米軍なんかは事前に航空戦力の上空通過許可を周辺国に取り付けたりして「外から入って真っすぐ突っ切って外に出る」運用で相手はどこから侵入してどこへ抜けていくのか判らないまま防空能力をズタズタにされる運用だったわけです。
今回の F-16 は「外から突っ込んでくる戦力を内から押し返して、敵の目の前で反転して巣に帰っていく」運用になります。どこから来るのかある程度想定できて、目の前でコースを変えてだいたい来た方向に戻っていくことが分かっている戦力となるといろいろ対応策が考えられそうです。これに情報提供者からの近くの空港からそれっぽいものが離陸した/着陸したの報告とを合わせると、相当念入りに情報確度を落とすための欺瞞ソーティを混ぜないと、レーダーで「この輝点は何時にどこの空港から離陸したあの部隊の可能性が高い」まで判定されて地対空または空対空で狙い撃ちされる可能性も出てきます。
そのレーダー能力を仕留めるのも F-16 の仕事だろうという意見もネット上でよく見かけるわけですが、これも「内から外へ」の運用で使われた例をあまり聞いたことがないのでデータ的にはこれから採っていく感じになるかと思います。うまく機能するといいんですけどねぇ。
当然、出撃と帰還の空港を変える運用パターンを準備しているとは思いますが、そのためには数に余裕のない専用の整備士やら器材を分散配備する必要があって、しかもそこに弾道弾やドローン攻撃が雨あられと降り注ぐことは目に見えてますので、うーん、かなり神経使う運用になるんじゃないかなと。戦車なんかの燃料弾薬補給はその辺の物陰でできるので気楽だったと思いますが、「内から外への」航空戦力運用はきっと大変だぞと。そうそう簡単に「敵空軍の圧力を相当減じるのでは」的なふわっとした使い方はできないんじゃないかなと心配でなりません。
一方で航空戦力はただ飛ぶだけでも摩耗するえらく重い兵科でして。本格的な航空戦が始まれば遠距離戦といえど激しい戦闘機動で双方ともに稼働率がみるみる落ちていくことが予想されます。経済制裁を受けている敵勢力に対して外からの交換部品/整備能力の支援さえ維持できれば稼働率で競り勝つシナリオも或いは。なにせ超売れっ子の F-16 は西側に大量に備蓄されているであろう交換部品と C やもしかすると D整備体制が出来上がってまして機体を国外に出すローテが組めるぐらい揃えばもしかすると……。
最近は早期警戒機といった探知/電子戦能力への砲爆優先度が上がって実際にスコアとして計上されているようでして「防空/監視能力に穴ができているのでは?」という見方が多くなってきていますが、どうなんでしょうねぇ。一時的に足りなくなっているのは事実かもしれませんが配置を少し弄って「一ヶ所だけ露骨に穴を開けてみる」再配置をするという考え方もありますし、この辺は読み合いになるんでしょうかね。「外から内へ」進入する側で且つ圧倒的数量の航空戦力を持っている側には「少々の穴」を補う選択肢が多く残っているのが辛いところかなぁと。地対空能力をもっと厚く敷ければいいんですけどねぇ。
バイパーが自由に飛び回るにはまだまだ窮屈な空模様と思われますが、焦らずねっとりとした運用で「ゴール」を目指してほしいと思う季節なのです。