レディMはミリアだと信じて疑わない者の呟き
いやぁ、マクロスΔ(デルタ)とりあえず終わっちゃいましたねということで、今回はその感想(としょーもない妄想)を。それなりにネタバレあり。
いやぁ、マクロスの新シリーズが始まりましたね。私は年末の先行特番観てそのぶっ飛んだ設定に悶絶してた口なんですが皆さんどうだったんでしょう。今回新シリーズ正式第一話を心の準備をしつつ正座して視聴したわけですが、やっぱり悶絶しました。でも切り口としては面白いところが結構あって、今後の展開が楽しみなのであります。
で、マクロスシリーズといいますと第一話で歌やメカ、戦闘シーンのお披露目をして視聴者のハートをがっちり掴みにくると言うのがお約束なんです。その掴みに来る要素の内の戦闘シーン、特に機動に関してここ最近のシリーズを観ていて幾つか思うところがあるのでここらへんで整理してみようと思うわけです。
マクロスといいますと VF 可変戦闘機と戦闘ポッドまたは大量のミサイルとのイチャイチャが代名詞となって随分たちます。このイチャイチャを時の最新技術を使ってどう表現するかがファンの一関心事といってもいいのではないかと思います。
ただテレビシリーズ第三作目マクロスF 以降、VF シリーズの性能を上げすぎちゃったせいか、超高速で VF が一瞬画面に映ったかと思うとすぐにカメラから距離をとって敵味方の軌跡を表す赤と青の線がもつれるだけの退屈な映像が多用されるようになり、バックで流れる曲の半分あたりまで繰り返されるとさすがにダレてくるわけです。ここではこの表現を「線化する」としておきましょうか。
戦闘機動を線で描き高速でうねらせるというのはマクロスシリーズでは OVA マクロスプラスあたりまではミサイルとゴースト(無人戦闘機)といった Unmaned な「人間が搭乗していない兵器」に主に使われていた技法でありました。ミサイルや無人機は搭乗者の健康を気遣う必要が無いので滅茶苦茶な高 G 機動が可能であるという設定を絵にした大変素晴らしい表現技法なのであります。幾つか例外はあるかもしれませんが私個人の印象としてプラスでは終盤に有人戦闘機が全てを犠牲にして無人機の高機動領域に入っていく際にようやく線化する具合であったと記憶しているわけです。
ところが F では人間が乗る兵器にも線化があっさり適用されるようになっちゃってミサイル等たくさんの線が伸びてくると、主人公もあっさり線化してシュシュシュのシュとこれまたあっさりと回避しちゃうんです。ハァ??
違う、違うんだ、俺が観たいのはミサイルや無人機の高G機動を仕掛けてくる脅威に対して、有人機がのた打ち回りながら根性でそして無様に死に物狂いで回避する光景、殺しきれない速度をガウォークに変形しつつ砂埃を巻き上げながら障害物の間に機体を滑り込ませそれでも速度殺しきれずに障害物をぶち壊しながら進む光景、大半のミサイルの追尾を障害物に引っ掛けながらかわしてそれでも別コース設定で追尾してくるミサイルをガンポッド連射でいなしつつ反撃のミサイル一斉射を狙う光景、そういう泥まみれの可変戦闘機による格闘戦が見たいのだ ―― って書いてて思ったんですがこれは愛おぼのマックスミリア戦そのまんまですな。
要は何が言いたいのかというと、大量のミサイルが凄いアニメなんだよという折角の歴史あるセールスポイントを有人機のお手軽線化で殺してしまっているのであります。まず有人機の出力を落とそうよ。位置エネルギーと運動エネルギーの交換を楽しめる程度の「飛行機」に再設定して安直な線化を止めて欲しいのであります。そして迫り来る高機動の無人兵器との知恵比べをちゃんとやって欲しいのであります。
そういう意味では新シリーズではミサイル回避に気合を入れるシーンがあって良かったと思います。ただその直後にあまりの高出力ゆえか機体がどういう機動で一度距離をとろうとしてるのか解らないほどの一瞬で画面外に逃げていってしまうのがなんとも歯がゆくもどかしい感じがします。戦闘の流れ自体はよく設計されてるなとオシッコ撒き散らしそうになるんですが、高速感を出すために途中の機体の挙動やその機微を省いて空間跳躍的に数フレーム内に収めてしまうため何が起きてるのかさっぱり解らない。たぶん意図して解らせない様にしてるんだと思いますがこれがいま一つ盛り上がりに欠けるというか水をさす部分なのかなと思うんです。今回の第一話の描写を見る限り、線化の次は点化かよ! みたいな流れになるのかなとどんよりした気持ちになるわけです。
あとついでにもひとつ気になるのは、機体の CG 化以降、どうも機体が大気に乗ってる感がないというか本当にその惑星に大気はあるのかと疑ってしまう機動が気になって仕方ないのであります。何の抵抗も無く機首をあっさり持ち上げてツルリと凄い反転しちゃったりして空気の塊に叩きつけられる感がないというか、その背中にしょってる二枚の翼は本当に風を捉えているのかと問い詰めたい感じがするんですが私だけなんでしょうか。実際の飛行機の機動がどうなのか知りませんが、折角 CG でやっちゃうんだからもうちょっと微妙な、嘘でもいいから少しぐらい空気からの反発を受けちゃってるそれっぽい振りとか溜めをつけたっていいだろうにとか思うんですが、どうなんでしょう。それともやっぱり「本当はそういうところにもっと手間をかけたいんだけれど大人の事情で出来ないんだTT」的なアレなんでしょうか。
新シリーズではあまりに高性能化した VF シリーズの「新型機の凄い感」を出す方法はもはや線化では十分ではなくなったので、私の予想では「カードをセットしたら ARMORED や FAST パックのコーデに即変身できる」とか「機体が分離してパートナーの歌い手とドッキングして VF ガール形態になったり」とか「凄い踊りが出来る VF」的な方向でしかも二機で複雑な変形をしながら歌に合わせて踊れるニコニコ踊ってみた勢大歓喜の方に舵を切るのではとこっそり期待しているのですが、その辺を踏まえつつマクロス△さんの完走を目指したいと思います。
酒をいただいてほろ酔いで書いとります。久しぶりにもののけ姫を見ましたが、いやぁ、よく動く。アニメを「まるで生きているかのように絵が動く」とするなら、これがアニメなんだなと思うぐらいによく動く。すげー。
昨今の深夜アニメもかなりがんばってるものもあるとは思うんだけど、やっぱり動かすことをわかっている人に金と時間を注ぎこむとこういうものが出来上がるんだなという安心感というか、さすが御大という感じです。
御大といいますと戦争の描写もうまいんですよね。
私の中ではあれやこれや本を読んで得た感想として「戦争というのはとどのつまり、接点(交戦地点)に向けてヒト・モノが流れ激しく酸化燃焼する現象」な訳ですがその燃焼地点にどれだけ太く速く永くよく燃えるヒトモノを送ることが出来るかという部分がとても大事なわけで、そういうことを知ってはいなくても(つまりは体験していなくても)理解している人が描く戦争ってのは重厚でいいなと。
御大が戦争を描くと高い確率で「泥濘化した山野を馬匹を従えてモノを運ぶも最後は人力」的なシーンがあるように感じるんですが、そういう臭~~い部分を1カットでも入れることが出来れば昨今の深夜枠ももっと面白くなるんじゃないかなと思うわけです。あれ、話がなんか脈絡なくなってる?
脈絡ないついでに書くと、春ごろからBSで1stガンダムの再放送をやってるんですが、ガンダムでは戦争中であることや戦況の説明はほとんど「ガヤ」といいましょうか名もない通りすがりの市民や兵士の雑談から連想させる手法(しかも画面外から声だけとか)をとっていて、わざわざ説明のために数カット使う予算も時間もなくて発狂寸前のアノ人がとった苦肉の策なんだろうけど、とても効果的で「(画面には映ってないけど)戦争が膠着して身動き取れなくて不安だけが募っている」という背景がちゃんと頭に入ってくるわけです。今の深夜枠でも金と時間足りないならこういうのどんどん使えばいいのになと思うわけです。
何書こうと思ってたんだかよくわからなくなってきましたが、とにかく大事なことに一手間割くのって大切だよねってことでもう一口酒を頂こうと思う金曜の夜な訳です。それにしても極黒のブリュンヒルデ最終回は開いた口がふさがらないという。
久々にアニメネタを。
まずはマクロス。なにやら新作が来るらしいのですが、次の歌とその歌い手の設定とか可変戦闘機はどうなるのか楽しみであります。あとこれまでの傾向として過去作の設定はだいたい引き継ぐ感じですので、それはつまりFで整理された時間と空間を越えちゃう要素「フォールドクォーツ」が活きてくるとなると、もしかしてはるか昔に行方知れずになったメガロードに追いついちゃったりとかそういう展開もありかなとか思ったりもするんですがどうなるんでしょう。
ちなみにFの可変戦闘機はファイター形態のコックピットからボディへ到るラインは美しいの一言なんですが、一方でどうも線が細すぎて最後まで好きになれませんでした。0(ゼロ)の時もそうでしたが戦闘機の段階で軽い違和感を覚えちゃうとなかなか作品にのめり込めないと言いましょうか、バトロイド形態になっても全然興奮しないというか「ふ~ん」で終わっちゃうことも。今思えば、この辺のさじ加減がマクロス独特の難しさなんだなぁと。
それはさておき巷では今期アニメが次々と最終回を迎えていますが、個人的に今期アニメの推しは「スペース☆ダンディ」ではないかと思います。まずはなんといってもOPが岡村靖幸というだけでかなりポイントが高いんですが、アニメの内容も毎回ぶっ飛んでいて毎週録画を見るのが楽しみな一本でありました。ヘポタイアーッ!
他にも面白かった冬アニメは幾つかあるんですが、最初の勢いが維持できずに惜しい部分があったりして、その点スペース☆ダンディは前後のお話のつながりが一切ない分、話の落ちをどうつけるつもりなのか毎回ハラハラさせられるわけです。で、話によっては「へっ?」と思う暇も無くやくしまるえつこの独特なEDに突入して煙に巻いてトンズラこく一連の流れは見事の一言だと思います。
《おまけ》OMEGA7 の第四巻が3月28日に出るっすよ!