白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋ひしき

DATE: 2019-09-30CATEGORY:GHOST RECON seriesTAG:,

GHOST RECON BREAKPOINT のオープンβを遊んでみました。調子に乗って書いてますがオープンβ用なので製品版とは違うかもしれないので鵜呑みにしないでね、というお約束の一文を置いてさっそく。

先に結論から言うと「 基本は WILDLANDS 仕様(つまりそれなりに遊べる)で、細々と手が加えられてよくなっている部分はあるものの世界の魅力がちょっとどうにもならない感じ」というのが感想です。システムに限って言うなら変更傾向としては「だらしなさから生まれる多様な遊び方が魅力のシステムに、細々と手を加えることで窮屈にしている。ところによって締め過ぎ」と言えるかと思います。

いろいろ改善や改悪等細かい部分まで挙げていくときりがないのと、そういうのはたぶんフォーラムやらネット上でさんざん言われるでしょうから、ここではオープンワールドに関する部分だけ。

特定のロケーションに進入して気づいたんですが、影や遠近描画 LOD 関連に見た目とは別に内部的にかなり調整が入ってる感じがします。たぶんシーンあたりの処理量を上げるために遠景の処理と影の処理の効率化をしたのかなと。オープンワールドの視界内の情報量の質や密度は世界を楽しむためにとても重要な要素ですしね。

その恩恵は特にデザイナーズビル風味の高層建築が集まるエリアで感じ取ることができます。ガラス張りの内部への射線判定を維持したまま多層構造の建築物を集中配置してるだけでも凄いと思うんですが、建物内外の装飾系オブジェクトなんかも含めると一つのシーンで判定込みで描画できる処理量はかなり上がってるんじゃないかなと。前作GRWの研究施設棟なんかは随分と重たい印象ありましたし。

このシーンあたりの処理量上限が増えることでだいぶリッチな絵作り? というか雰囲気作りをしているのは少し遊んだだけで伝わってきます。気が付いてみると結構、感動的。しかし問題なのがその雰囲気の方向性。

世界がね、死んでるんです。いやまぁ、武装勢力が支配してるんだから演出的に仕方ないだろうと言われればそれまでなんですが、とにかく魅力がない。

道を走ってるのは武装勢力のパトロールだけで市民の車は全然走ってない。車が通る道とは別に裏道のようなものがたまにあるけど、どうしてそこに道があるのかサッパリ伝わってこないんですね。誰も歩いてないのに何でそこに道ができているのか?

GRWだと裏道を地元の人が生活道としてテクテク歩いてるんです。これがいい。すれ違うと、仲間のAIが「やぁ、どうも」とか適当に挨拶してくれる。昼間すれ違うおばさんは「ああ、これから小麦粉でも買いに行くのかしら?」とか訳わかんない想像できるし、月明かりのない夜道ですれ違う時は「やばくね? さすがにこの人ちょっとワケありなんじゃ!?」とか考えながらすれ違うアノ楽しさ。夜に山肌の小径で女性の少し後ろをついて歩く男とすれ違うと「もしかしてこいつはここで撃ち殺した方がいいのでは(ダーティハリー的思考」とか超やばいアメリカ人ごっこして遊んだりできるんですが、BREAKPOINT にはそういうのが無いんです。

天下の往来で銃撃戦が始まって不運にも巻き込まれて立ち往生する一般人の車、車、車。ヘッドライトに浮かび上がるは逃げ惑う市民の影。あちこちで飛び散る着弾の火花、そして爆発。そういうのがないんです、BREAKPOINT には。世界が息をしてないんです。正確には想像力を刺激してくれない。

もちろん BREAKPOINT にも少しはあるんですよ、想像スイッチ。例えば山野にそこまでバイクで来たと思われる住人たちが立ち話をしている光景を見かけるんです。それもあちこち。結構な頻度。でもね、その設定で観たいのは山の中をドローンに追いかけられて逃げ回ってるバイクの人とか、男女二ケツでバイク流してて武装勢力に威嚇射撃されまくってる光景とか、そういうのが欲しいんですよ。画面の端でそう言うことが起きていて欲しい。あんた達はいったいどうやってここまで来たんだと。そこにドラマはなかったのかと。想像するためのネタをくれと。

いやまぁ、オープンワールドに「息づく世界」要素なぞ求めていない人も結構いるでしょうからあまり重要視されないのかもしれません。実際、BREAKPOINT は遊べますしね。ドンパチしてたまにCQCで俺TUEEE!するだけなら現状でも十分だと思います。狙撃系の弾道特性も劇的に緩和されましたし。

でもドンパチだけだとすぐに飽きてくる。そうならないためのハクスラ要素なんでしょうけど、お散歩スキーのプレイヤー層にはあまり刺さらない。欲しいのは「こんな場所でも生活はあるんだな!」という刺激。残念ながら BREAKPOINT オープンβにはそういうのがほとんどなかったように感じます。ハクスラ要素でただただヘトヘトになっただけでした。

BREAKPOINT が製品版でどういう調整をしてくるかわかりませんが、想像スイッチ重視な人は少し様子を見た方がいいかもしれません。その間、GRW未プレイの人はGRWを遊んでみるのも手かもしれません。今ならだいぶお安くなってますし。UBI にもお金入りますし。

BREAKPOINT は国内 2019年 10月 4日発売予定。今週ですね。私は様子見です。あ、そうそう、「パンツでギアレベルを上げて物理で殴れ(撃て)」はある意味真理でしたwwwと付け加えておきます。

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