時刻を合わせよう……3、2、1、
(0000Z)2022年、あけましておめでとうございます。 昨年は五輪とコロナで訳わかんないまま「あっ」という間でしたので、今年は少し落ち着いた感じのぬるめで過ごしたいものです。
この投稿は毎年恒例の原理主義視点で昨年一年のR6/GR界隈を振り返るシリーズなんですが、総評としてGRとR6の両ライン共にもうどう突っ込んでよいやらという香ばしい一年だったと思います。
昨年はR6/GR共に新作に動きのあった年なんですが。この新作がどうにもよろしくない。よろしくない ―― というのは Tom Clancy を冠していなければ普通に面白そうなゲームになっていたと思われますが、よりによって、本当によりによって一番食い合わせの悪そうな Tom Clancy 系 IP と掛け合わせてしまうという愚策失策がどうにも救いようがない辺りを指しています。で、そんな中あちらこちらで囁かれているのが……
Ubisoft は Tom Clancy 系 IP を持て余している ―― これは近年 SNS や公式フォーラムで(たまに変化球で経済誌系のサイトとかで)見かける話題でして、人によりスタート地点こそ異なるものの最後は「他の外部スタジオ・企業にIPを売った(または任せた)方がいい」というゴールに至る意見が大勢となっています。
個人的に IP 持て余し論のスタート地点は「Ubisoft の立ち位置的に軍事スリラーはもう無理だろう」ってあたりかなぁと。
ここからは邪推 ――
Ubisoft はその顔色を窺わないといけない「親方」がたくさんいまして、例えば各地に分散させた開発スタジオも雇用を生んでいるとはいえ地元で税制優遇等の恩恵をあれこれ受けている構造上そこの行政府を無視できませんし、フランス政府からもゲームエンジンの開発やらなにやらでお金が流れ込んでますから逆らえない。フランス政府って自動車とか自国の主要産業と捉えた部分にはグイグイ干渉してくる印象なんですよね。
で、その顔色窺わないといけない親方リストの中には中国もあるんですね。Ubisoft は先の Vivendi との株式の敵対的買収を巡る防衛戦で株式の買戻しを Tencent という中国資本に頼ってしまった経緯がありまして。議決権やらなにやら制限を設けているものの中国資本が「顔色をうかがうべき親方リスト」に名前を連ねる結果となりました。
Tencent とのやりとりは防衛戦の後始末と同時に中国市場へのアクセス権を得るという一見すると妙手に思えますが、裏を返せば Tencent とその後ろで操っている中国政府の気に入らないことをすると中国巨大市場へのアクセス権を失うという、議決権うんぬん以上の影響力を持ってしまったのではないかと想像してみるわけです。
で、現在の世界情勢にあってフランス政府やら中国政府の機嫌を損ねない軍事スリラー設定って可能でしょうか? いやこれ、かなりの難問ですよ?
今、世界ではクリミア半島と米中対立が大きな問題となっていますが、このどちらにも仏・中の存在が深く関係しているわけです。特に激化する米中対立にあって対中包囲網に係わることや一帯一路に係わること、ましてや特定地域が独立宣言するようなシナリオは親方的に絶対に通ることはありません。RAINBOW はともかく、アメリカ一国の事情で独自にドンパチおっぱじめる事のできる秘匿特殊部隊 GHOST があろうことか現アメリカ最大の課題に参戦できないわけです。
個人的にはアフリカはマリ共和国周辺が熱いんですが、ここもフランス特有の事情で弄りにくい。旧宗主国としてフランスは今もアフリカに軍を常設駐屯させていて、例えば「女学校を襲撃して女生徒を大量に攫っている」某宗教的武装組織と結構な数で殺り合っているはずなんですが、この辺を下手にゲーム企業如きがつつくと半年後に冗談抜きで Ubisoft の本社ビルに危険物を積んだトラックが突っ込んで来る可能性があるためこれも難しい。
事程左様に Ubisoft は世界情勢を映す物語の「敵」を設定できないゲーム企業となっているわけです。できるのは人間相手ではもう身をもち崩した米国人ぐらいしか脅威設定できないという何とも皮肉な事態に。GHOST も RAINBOW も気が付くとヤケクソになってるアメリカ人とばかり戦ってる印象なんですよね。これじゃあ軍事スリラーは無理なんじゃないかなぁ。Tom Clancy という冠ととびきり相性の悪い立ち位置にいるのが Ubisoft なんですよね。
昨年の後半ぐらいから、中国政府の国内ゲーム産業への締め付けが急激に厳しくなって中小は焼け野原に没し大企業は海外へ逃亡を試みているという類のニュースで界隈が盛り上がってますが、Tencent なんかもそのあおりをモロにくらってるそうなんですが果たして Ubisoft との関係はどうなるんでしょうねぇ。今年何か動きはあるんでしょうか。2022年はこの辺を注目したいですね。